
「肩が前に丸まって腕がだるい」
「胸を張ってもスッキリしない」
——そんな方は、肩甲骨が『下がりすぎている(下制位)』かもしれません。
「肩が上がる」タイプ(挙上)とは逆に、肩甲骨が下方向へ引き下げられすぎている状態。
見た目は力が抜けているようでも、実は肩まわりの筋肉が強く引っ張り合っているのです。
肩甲骨の“下制”とは?
肩甲骨が本来の位置よりも下方向へ引き下げられた状態を「下制」といいます。
通常、肩甲骨の上角は胸椎2番(T2)あたりに位置しますが、
下制位では上角がT3〜T4付近まで下がってしまいます。
📍 正常:上角=T2、下角=T7
📍 下制位:上角=T3〜T4まで下がる
見た目の特徴は、肩の位置が下がり、鎖骨が水平〜下がり気味になること。
なぜ下制になるのか?
① 僧帽筋下部・広背筋の短縮
肩甲骨を下に引き下げる筋肉が過剰に緊張。
姿勢を正そうとして「胸を張る」意識が強い方に多く見られます。
② 前鋸筋や小胸筋の働きの低下
肩甲骨を支える前面の筋肉が弱く、背面の引き下げ作用が優位になります。
③ デスクワーク姿勢・腕の重さ
肘を支えずに長時間パソコン操作を続けると、
腕の重みで肩甲骨が徐々に引き下げられて固定されます。
肩甲骨下制による不調
巻き肩・猫背
腕のだるさ・重だるい疲労感
鎖骨下のつっぱり感
肩甲骨の動きが悪く、挙上しづらい
胸郭の動きが制限され、呼吸が浅い
肩甲骨が下がりすぎることで、胸の筋肉が引き伸ばされ、
呼吸補助筋の働きが悪くなりやすくなります。
セルフチェック法
鏡の前で立つ
鎖骨の傾きを確認
→ 鎖骨が水平よりも下がっている場合、下制傾向腕を上げるとき、肩が「下から引かれる」ように感じるなら要注意
また、肩をすくめたときに「痛みや引っかかり」が出る方も、
すでに下制位で可動性が失われている可能性があります。
改善のポイントとストレッチ
① 広背筋のストレッチ
壁に両手をついて前屈みになり、背中を軽く伸ばすように呼吸。
→ 20秒×3セット
② 僧帽筋下部のリリース
テニスボールを背中の下部(肩甲骨下角周囲)に当てて、
ゆっくり圧をかけながら呼吸を整える。
③ 腕を支える姿勢を意識
デスクワーク時は肘や前腕をしっかり支えるようにし、
腕の重さを肩甲骨に預けないようにする。
【まとめ】
肩甲骨の下制は、見た目は「姿勢が良く見える」こともありますが、
実際には背中と腕の筋肉が引き下げ合い、動きが制限されている状態です。
ポイントは「持ち上げる」よりも「支える」感覚。
肩甲骨を自然な高さに戻すことで、胸の動きや呼吸も整いやすくなります。



















