
「ふと気づくと、いつも肩に力が入っている…」 「鏡を見ると、なんだか昔より首が短くなった気がする」 「深呼吸をして力を抜こうとしても、肩の位置が下がらない」
もし心当たりがあるなら、あなたの肩甲骨は「挙上(きょじょう)」という状態でロックされているかもしれません。
簡単に言えば、「常に肩をすくめている状態」です。
本来、肩甲骨はエレベーターのように上がったり下がったり自由に動くものですが、これが最上階(上がった位置)で故障して止まってしまうと、頑固な肩こりや頭痛の原因になります。
今回は、この厄介な「肩甲骨の挙上」について、なぜ起こるのか、どうすれば降りてくるのかをわかりやすく解説します。
肩甲骨の「挙上」ってどういう状態?
専門用語で「挙上」と言いますが、要は「肩をすくめる動き」のことです。
寒い時や驚いた時に、キュッと肩が上がりますよね? あの動きです。
理想の状態: 必要な時だけ上がり、普段はリラックスして下がっている(下制)。
挙上の状態: 常に肩が耳に近づいており、「下げる」ことができなくなっている。
これが続くと、常に重い荷物を持ち上げ続けているのと同じ負担が、首や肩にかかり続けてしまいます。
なぜ肩は勝手に上がってしまうの? 4つの犯人
「力を抜けばいい」と思っても抜けないのには、筋肉や姿勢の構造的な理由があります。
① 僧帽筋(そうぼうきん)が頑張りすぎている
肩こりの主役とも言える、首から背中に広がる大きな筋肉です。ここが緊張しすぎると、強力なゴムのように肩甲骨を上へ引っ張り続けてしまいます。
② 肩甲挙筋(けんこうきょきん)が縮んでいる
その名の通り「肩甲骨を挙げる」ための筋肉で、首の骨と肩甲骨をつないでいます。 デスクワークなどでここが硬くなると、首の付け根や後頭部にズーンと重い痛みが出やすくなります。
③ 小胸筋(しょうきょうきん)の影響
意外かもしれませんが、胸の筋肉も関係しています。 小胸筋が硬くなると、肩甲骨を「前へ、かつ上へ」引っ張り込みます。猫背の人が肩も凝りやすいのはこのためです。
④ 無意識の「ストレス反射」
人間はストレスを感じたり、集中して「頑張ろう」としたりすると、防衛本能で無意識に肩が上がります。真面目で頑張り屋な人ほど、この「無意識の挙上」が癖になりやすい傾向があります。
放っておくとどうなる?(症状例)
肩が上がったままだと、以下のような不調のドミノ倒しが起きます。
慢性的な首こり・肩こり(マッサージしてもすぐ戻る)
緊張型頭痛(首の後ろが詰まって頭が痛くなる)
呼吸が浅くなる(胸郭が固まり、酸素が十分に入らない)
「寝ても疲れが取れない」(寝ている間も肩に力が入っているため)
特に、「お風呂に入ってリラックスしているはずなのに、肩が浮いている」という方は要注意です。
鏡でチェック! あなたの肩は上がってる?
鏡の前に自然に立って、ご自身をチェックしてみましょう。
肩のラインが盛り上がり、耳との距離が近い
鎖骨がV字に吊り上がっている
首が埋もれて短く見える
「肩を下げて」と言われると、下げるのが苦しい、またはすぐ戻る
深呼吸をすると、お腹ではなく肩が上下に動く
これらに当てはまる場合、肩甲骨が「挙上位」で固まっている可能性が高いです。
肩をストンと落とす!改善のポイント
固まった肩を下ろすには、「緩める」ことと「下げる感覚を覚える」ことが大切です。
① 「ぎゅーっ、ストン」体操(脱力の練習)
無意識に入っている力を抜く練習です。
息を吸いながら、両肩をこれ以上ないくらい耳に近づけて「ぎゅーっ」とすくめます。
息を吐きながら、一気に脱力して「ストン!」と落とします。
これを5回繰り返し、肩の位置が下がる感覚を味わいます。
② 首の斜め前倒しストレッチ(肩甲挙筋ほぐし)
右手で頭の左側を持ちます。
頭を「右斜め前」にお辞儀させるようにゆっくり倒します。
左の首筋から肩甲骨にかけて伸びるのを感じて20秒キープ。(反対も同様に)
③ 「肩甲骨をポケットに入れる」意識(下げる筋肉を使う)
胸を軽く張ります。
肩甲骨を、ズボンの「後ろポケット」にしまい込むようなイメージで、ググッと下げてみましょう。
普段使われていない「肩甲骨を下げる筋肉(僧帽筋下部)」が刺激され、位置が安定しやすくなります。
④ 呼吸と環境の見直し
デスク環境: キーボードの位置が高すぎると、常に肩をすくめる姿勢になります。イスの高さを調整し、肘が自然な位置に来るようにしましょう。
深呼吸: 肩を動かさず、お腹を膨らませる「腹式呼吸」を意識すると、首や肩の緊張が抜けやすくなります。
【まとめ】
肩甲骨の挙上は、あなたの体が常に「戦闘態勢」になって休めていないサインです。
大切なのは、「力を抜いた時に、自然と肩が低い位置にある状態」を取り戻すこと。 まずは気付いた時に「ストン」と肩を落とすことから始めてみてください。それだけで、頑固な首こりや頭痛がスッと楽になることがありますよ。


























