「高いところの物を取ろうとすると、肩が詰まる」
「以前より、腕が真上に上がりにくくなった」
このようなお悩みには、肩甲骨が必要以上に上へ回りすぎている(上方回旋が強すぎる)状態が関係していることがあります。
肩甲骨は、腕の動きに合わせてスムーズに動くのが理想です。この「回る動き」が強すぎると、肩まわりが詰まった感じになったり、動かしにくさにつながったりすることがあります。
この記事では、肩甲骨の上方回旋の特徴と、自分でできるセルフケアを紹介します。
肩甲骨の“上方回旋”とは?
まず、「上方回旋」自体は悪い動きではありません。バンザイをするとき、肩甲骨は背骨から離れながら、上方向へ回るように動きます。これが本来の「上方回旋」です。
気をつけたいのは、この動きが強くなりすぎている場合です。
- スムーズな状態:腕を上げ始めると、少し遅れて肩甲骨がなめらかについていく
- 回りすぎの状態:腕を少し動かしただけで、肩甲骨が外側・上方向へ大きく動いてしまう
こうなると、腕を上げたときに肩の上のあたりが「詰まる感じ」や「引っかかる感じ」が出やすくなります。

回りすぎが起こりやすくなること
肩甲骨を「上へ引き上げる筋肉」ががんばりすぎて、「下に引き留める筋肉」がうまく働いていない、というバランスの崩れが関係していることが多いです。
① 首の付け根から肩甲骨の内側の筋肉の緊張
首の付け根から肩甲骨の内側にかけての筋肉(肩甲挙筋や小菱形筋など)が硬くなると、肩甲骨が上へ引き上げられやすくなり、肩がすくんだ状態になりやすくなります。肩こりが続いている方は、このあたりが縮こまっていることがよくあります。

② 脇の下の筋肉(前鋸筋)の張りすぎ
脇の下にある前鋸筋(ぜんきょきん)は、肩甲骨を外へすべらせ、上へ回す筋肉です。猫背や巻き肩で背中の筋肉がうまく働かないと、前鋸筋ばかりががんばり、肩甲骨が外側へ流れやすくなります。

③ 日常的な「肩すくみ姿勢」
デスクワークで集中しているときやスマートフォンを見ているとき、無意識に肩が上がっていませんか?この姿勢がクセになると、少し腕を動かすだけで肩甲骨が大きく動きやすくなります。

こんなときに気づきやすいです
- 腕を真横から上げていくと、途中で引っかかる感じがある
- 洗濯物を干すときや髪を洗うときに、肩が詰まる感じがする
- 首や肩のこりが続いている
- 背中の上のほうが張る
- 巻き肩が気になる
このような場合は、まず医療機関へご相談ください
次のような場合は、セルフケアや整体よりも先に、整形外科などの医療機関へご相談ください。
- 転倒やケガのあとから、腕が上がらなくなった
- 痛みが強く、夜も眠れない
- 腕や手にしびれがある、または力が入りにくい
- 痛みや動かしにくさが、だんだん強くなっている
セルフチェック
鏡の前で、肩のラインが見える服装(タンクトップなど)で確認してみましょう。
鏡に向かって立ち、手のひらを内側に向けたまま、ゆっくりと腕を前から上へ上げていきます(バンザイの動き)。
見るポイント
- 腕を上げ始めてすぐに、肩が耳に近づくようにすくんでしまう
- 腕を上げきったとき、肩甲骨が背中から大きくはみ出し、脇の下が広く見える
当てはまる場合は、上方回旋が強くなっているかもしれません。見た目だけでは判断できないので、目安として考えてください。
セルフケアのポイントとストレッチ
ポイントは、がんばりすぎている筋肉をゆるめ、うまく働いていない筋肉を動かすことです。
どれも、痛みの出ない範囲で行ってください。痛みが強くなる場合は、無理に続けないでください。
① 背中を広げるストレッチ
縮こまった肩甲骨の内側を広げます。
- 体の前で両手を組みます。
- 大きなバランスボールを抱え込むようなイメージで、背中を丸めていきます。
- 組んだ手を遠く前へ突き出し、おへそを覗き込みます。
- 肩甲骨と肩甲骨の間が左右に広がるのを感じながら、ゆったり呼吸を20秒くり返します。(3セット)

② 脇の下の力を抜く呼吸
張り詰めた脇の下を、呼吸でゆるめます。
- 片方の手を、反対側の脇の下(肋骨のあたり)にやさしく当てます。
- その手のひらを、呼吸で内側から押し返すようなイメージで、深く呼吸をします。
- 肋骨がふくらんだり縮んだりする動きを感じましょう。脇の力が抜けると、肩が下がりやすくなります。

③ 肩甲骨を下に引き留める練習
肩甲骨が上にいきすぎないよう、「下に引き留める力」を使う感覚をつかみます。
- 軽く胸を張ります。
- 肩甲骨を「寄せる」のではなく、「反対側のお尻のポケットに向かって斜め下に下げる」ような意識で軽く力を入れます。
- 肩がすくまない範囲で、5秒キープして力を抜きます。これを数回くり返します。

まとめ
腕を上げるために必要な「上方回旋」も、強くなりすぎると肩の詰まり感につながることがあります。大切なのはバランスです。
- 上に引き上げる筋肉をゆるめる
- 脇の下の筋肉(前鋸筋)の張りをとる
- 下に引き留める筋肉(背中の下のほう)を使う
この3つを意識して、少しずつ続けてみてください。
当院では、肩だけでなく、肩甲骨や背中、全身の筋肉の緊張を見ながら施術しています。腕が上げにくい方は肩の痛み・動かしにくさ(四十肩・五十肩)のページ、肩こりが中心の方は肩こり・首こりのページもご覧ください。








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