肩甲骨が上がりすぎる「挙上」と肩こり・頭痛の関係

肩こりや首の重さ、頭のだるさを感じる方の多くに見られるのが、肩甲骨の「挙上(きょじょう)」姿勢です。
肩が常にすくんだような状態で、リラックスしても肩が下がらないタイプ。

この「肩が上がったまま」の状態が続くと、肩こりだけでなく、首の血流や神経にも影響し、頭痛や疲れやすさにつながります。

肩甲骨の「挙上」とは?

肩甲骨が本来の位置より上方向に引き上げられた状態を「挙上」と呼びます。
正常な肩甲骨の位置では、上角が胸椎2番、下角が胸椎7番の高さにありますが、挙上位ではこの位置が上方へずれます。

📍 正常:上角=T2、下角=T7
📍 挙上位:上角がT1レベル以上に上がる

肩がすくんだように見え、首との境目がなくなるのが特徴です。

挙上を引き起こす主な原因

① 僧帽筋上部線維・肩甲挙筋の緊張

デスクワークやストレスで肩に力が入り続けると、僧帽筋上部や肩甲挙筋が短縮します。
その結果、肩甲骨が引き上げられたまま固定されます。

② 呼吸の浅さ

浅い胸式呼吸が続くと、肩や首を使って息を吸う「補助呼吸筋」が常に働きます。
この習慣が挙上位の固定を強めてしまいます。

③ 精神的ストレス・緊張

ストレス状態では交感神経が優位になり、自然と肩をすくめるような防御姿勢をとりやすくなります。

挙上位による不調

  • 肩こり、首の重さ

  • 頭痛(緊張型・後頭部のズーンとした痛み)

  • 呼吸が浅く、息苦しい

  • 背中や鎖骨のハリ感

  • 寝ても疲れが取れにくい

肩甲骨が常に上がっている状態では、首から肩の血流が悪くなり、老廃物がたまりやすくなります。

セルフチェック法

  1. 鏡の前に立つ

  2. 両肩の高さを確認

  3. 片側だけ高い、または両肩が常に上がっている場合は挙上傾向

また、リラックスしても肩が下がらない人、
「深呼吸して」と言われても肩が動いてしまう人も要注意です。

改善のポイント

① 僧帽筋上部線維のリリース

反対の手で鎖骨上から首筋にかけて軽く押しながら、ゆっくり深呼吸。
力を抜く感覚を覚えさせます。

② 肩甲骨下制エクササイズ

  • 壁に背をつけて立ち、肩を下にスライドさせる意識で呼吸

  • 5秒キープ×10回

③ 呼吸の見直し

胸式呼吸ではなく、**腹式呼吸(お腹を膨らませる)**を意識。
首・肩ではなく、横隔膜を使って呼吸をする習慣をつける。

④ ストレスマネジメント

首・肩は「ストレスを表す筋肉」とも言われます。
姿勢の改善だけでなく、休息・入浴・呼吸法も大切です。

【まとめ】

肩甲骨の挙上は「頑張る人」に多い姿勢です。
意識しすぎて胸を張ったり、緊張して肩をすくめることで、
肩甲骨が本来の位置より上がってしまいます。

大切なのは「力を抜く感覚」。
呼吸を深め、首・肩の余分な力を手放していくことが、
本当の意味での“姿勢改善”につながります。